離婚
夫婦が離婚する方法としては,協議離婚,調停離婚,審判離婚,裁判離婚があります。離婚の際には,財産分与,慰謝料,婚姻費用,養育費といった金銭の授受に関する事項と,子どもの親権,子どもとの面会交流等に関する事項を決定する必要があります。
離婚する方法
協議離婚
協議離婚とは,夫婦間の話し合いによって離婚をすることをいいます。離婚の多くはこの協議離婚によって成立しています。
調停離婚
調停離婚とは,夫婦の一方が家庭裁判所に離婚したい旨を申立て,家庭裁判所において調停委員を交えて夫婦間で話し合って離婚することをいいます。夫婦間で話し合いをしたものの,夫婦の一方が離婚に応じない場合等において,この調停離婚の申立てがなされます。
審判離婚
上記の離婚調停によっても離婚の合意に至らないものの,調停における話し合いの結果,家庭裁判所が離婚する審判をする場合があります。この審判による離婚を審判離婚といいます。
裁判離婚
裁判離婚とは,一般に,調停で離婚が成立せず,審判による離婚の判断も受け入れられない場合,家庭裁判所に離婚の裁判を提起し,離婚事由があると判断されて離婚の判決が出された場合の離婚をいいます。
財産分与
財産分与の種類
財産分与は,清算的財産分与,扶養的財産分与,慰謝料的財産分与の3種類に分けられます。
清算的財産分与
清算的財産分与とは,夫婦の婚姻期間中に築いた財産を,夫婦の共有財産と考え,離婚の際に夫婦の貢献度に応じて分配することをいいます。
扶養的財産分与
扶養的財産分与とは,離婚をしたことによって夫婦の一方の生活が不安定となる場合に,その一方を扶養するために給付されることをいいます。
慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与とは,離婚することによって生じる精神的苦痛に対する金銭的補償をいいます。この補償は,本来,財産分与とは別の,不法行為に基づく損害賠償請求として認められ得るものですから,慰謝料を財産分与として請求するのか,不法行為に基づく損害賠償として請求するのか明示する必要があります。
慰謝料
慰謝料
慰謝料とは,婚姻生活が破たんしたことによって被った精神的苦痛に対する金銭的補償をいいます。慰謝料が認められるかどうか,認められるとなった場合の金額については,破たんに至る経緯,破たん現認に関する夫婦の責任の内容,程度,破たんに至るまでの婚姻生活の状況等を総合的に検討した上で判断することになります。
婚姻費用
婚姻費用
婚姻費用とは,夫婦が共同生活を営む上で必要となる費用のことをいいます。夫が対外的に金銭を得られる仕事をし,妻が家事をする夫婦の場合,夫が仕事によって得た金銭の一部は妻の生活費に充てられますが,別居以降,妻がこのような生活費を受け取っていない場合には,この婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用の算定
婚姻費用がどれくらいになるかについては,現在の実務上,婚姻費用に関する算定表を用いて算定するケースが多くみられます。この婚姻費用に関する算定表は,夫婦それぞれの収入に応じて,婚姻費用を算定しようとするものであって,婚姻費用の算定にあたっての重要な指標となります。
養育費
養育費
養育費とは,未成年の子どもが成年に至るまでに日常生活において必要となる費用のことをいいます。離婚が成立する場合,親権者が定められますが,その親権者が子どもを養育するにあたっては,費用が発生します。そこで,子どもの親権者が,親権者とならなかった相手方に対して養育費を請求することができます。
養育費の算定
養育費がどれくらいになるかについても婚姻費用と同様,現在,養育費に関する算定表を用いて算定するケースが多くみられます。この養育費に関する算定表も,やはり婚姻費用に関する算定表と同様,夫婦それぞれの収入に応じて養育費を算定しようとするものです。この算定表も,養育費の算定にあたっての重要な指標となります。
子どもの親権
親権者
親権とは,子どもに対する監護教育をし,また子どもの財産を管理する権利です。この親権は子供のために適切に行使されなければならないことからすると,この監護教育,財産管理は義務ともいえます。夫婦の婚姻中,夫婦はその子にとっては父母であり,ともに親権者となります(共同親権)。
しかし,夫婦が離婚する場合,夫婦の一方のみが親権者となります。
離婚の際の親権者の決定
夫婦が離婚する際,どちらが親権者となるかについては,協議等によって決められます。父母いずれが親権者となるべきかについては,子どもの成長発達にとって父母どちらがふさわしいかを検討して決められます。具体的には,父母の監護能力,家庭環境,居住・教育環境,子どもの年齢,子どもの意思,父母との結びつきの程度等を総合的に考慮しながら,決められます。
子どもとの面会交流
面会交流
面会交流とは,親権を有しない父母が,子どもと直接会う等して子どもと意思疎通を図ることをいいます。面会交流は,親権を有しない父母が,子どもの生活を知る重要な機会であるとともに,子どもにとっても,普段会わない父母と接する数少ない機会であって,子どもの成長にとっても非常に重要なものと考えられています。
面会交流の決定
面会交流は,これによって子どもの福祉を害しないのであれば,通常,認められます。どのような場合に面会交流を認めるかについては,原則として話し合いによりますが,その際にも子どもの成長にとって,どのような頻度,場所で会うべきかを検討することが重要となります。